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更新日: 2026年08月08日
会社を辞めると、それまで入っていた健康保険からは自動的に外れます。次に入る保険は「①任意継続」「②国民健康保険」「③家族の扶養」の3択から選ぶことになります。どれが安いかは収入や家族構成によって変わるため、この記事では3つの特徴を比較しながら、保険料の概算の出し方と手続きの流れを整理します。
「保険なんて後回しでいいや」と思っていると、通院のタイミングで困ることになりがちです。まずは焦らず、自分に合う選び方を一緒に確認していきましょう。
退職すると健康保険はどうなる?
会社員として働いていたときの健康保険(協会けんぽや会社の健康保険組合)は、退職日の翌日で資格を失います。つまり退職翌日からは、いままでの保険証は使えなくなります。
「次の保険に入るまで無保険でもいいのでは」と考える人もいますが、日本には国民全員がなんらかの公的医療保険に加入する「国民皆保険」の仕組みがあります。手続きをしないまま放置していても、あとから国民健康保険の加入義務が生じ、遡って保険料を請求されることがあります。通院や急な病気・けがのリスクも考えると、早めに切替先を決めておくのが安心です。
3択の全体像をまず比較
3つの選択肢の特徴を、まず表でざっくりつかんでおきましょう。詳しい保険料は次の章以降で解説します。
| 選択肢 | 保険料の目安 | 手続き先 | 手続き期限 |
|---|---|---|---|
| ①任意継続 | 在職中の約2倍(会社負担分がなくなるため)。上限あり | 加入していた健康保険組合・協会けんぽ | 退職日の翌日から20日以内 |
| ②国民健康保険 | 前年の所得に応じて市区町村ごとに算定 | お住まいの市区町村の窓口 | 退職日の翌日から14日以内が目安 |
| ③家族の扶養 | 基本的に0円(扶養する側の保険料に含まれる) | 家族の勤務先(健康保険組合等) | 扶養する家族の会社の規定による |
「安さ」だけで選ばず、扶養に入れる条件を満たしているか、失業保険の受給予定があるかも合わせて確認することが大切です。
選択①:任意継続 – いままでの保険を2年まで続ける
任意継続とは、退職前に加入していた健康保険(協会けんぽや会社の健康保険組合)に、退職後も個人で継続して加入できる制度です。会社員時代とほぼ同じ医療サービスを受けられるのが特徴です。
- 今までと同じ健康保険証(保険者)を使い続けられる
- 扶養家族がいる場合、家族も一緒に任意継続の扶養に入れられる
- 保険料は「上限」があるため、給与が高かった人ほど国保より割安になりやすい
- 会社が負担していた分もすべて自分で払うため、給与から引かれていた金額の約2倍になることが多い
- 申出は退職日の翌日から20日以内。1日でも過ぎると原則利用できない
- 一度加入すると、原則自分の都合だけでは任意にやめられない(未払いなどの場合を除く)
加入できる期間は最長2年間です。保険料は退職時点の標準報酬月額をもとに決まり、協会けんぽ・健康保険組合ごとに上限額が設定されています。正確な金額は加入していた健康保険組合や協会けんぽの窓口・公式サイトで確認できます(全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイト)。
選択②:国民健康保険 – 自治体の保険に入る
国民健康保険(国保)は、お住まいの市区町村が運営する公的医療保険です。会社の健康保険や任意継続、家族の扶養に入らない人は、基本的にこの国保に加入することになります。
- 手続き先が近くの市区町村窓口なので分かりやすい
- 退職理由によっては保険料の軽減措置が使える場合がある(会社都合・特定理由離職者に該当する場合など。詳しくは自治体窓口で確認)
- 保険料は前年の所得をもとに算定されるため、退職直前の収入が高いほど保険料も高くなりやすい
- 会社の健康保険のような「会社負担」がなく、全額自己負担
- 世帯単位で計算されるため、家族が多いほど保険料が上がる傾向がある
保険料の算定方法や軽減の基準は市区町村ごとに異なります。正確な金額は「概算」として捉え、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口やホームページの保険料シミュレーターで確認することをおすすめします。
選択③:家族の扶養に入る – 配偶者・親の保険に入る
配偶者や親などがすでに会社の健康保険に加入している場合、その家族の「被扶養者」として保険に入れる可能性があります。この場合、原則として自分自身の保険料負担は発生しません。
- 保険料の自己負担が基本的にゼロ
- 手続きも扶養する家族の会社経由でシンプルに済むことが多い
- 年間の収入見込みに上限があり、これを超えると扶養に入れない(健康保険組合ごとに基準が異なる場合がある)
- 失業保険(基本手当)を受給していると、収入とみなされて扶養に入れない、または扶養から外れることがある(健康保険組合の判断による)
- 扶養に入れるかどうかの最終判断は、扶養する側の勤務先の健康保険組合が行う
特に失業保険を受給する予定がある人は要注意です。基本手当の金額や日数がどう決まるかは、失業保険はいくらもらえる?金額の決まり方と受給までの手順で詳しく解説しています。扶養に入れるかの正確な基準は、個別事情によるため家族の勤務先の健康保険組合やハローワーク等で確認してください。
迷ったときの選び方 – ケース別に考える
3択のどれが向いているかは、収入・家族構成・今後の予定によって変わります。よくあるケースで整理してみましょう。
| ケース | 向いている傾向 |
|---|---|
| 退職前の給与が高く、扶養に入れる家族がいない | ①任意継続(上限があるため国保より割安になりやすい) |
| 退職前の給与が低め、単身で扶養先もない | ②国民健康保険(所得次第で保険料が抑えられる場合がある) |
| 配偶者や親の扶養条件を満たしている | ③扶養(自己負担がほぼゼロ) |
| すぐに転職先が決まっている(1〜2ヶ月以内) | ①任意継続か②国保のどちらか短期間だけ加入 |
| 失業保険を受給する予定がある | 扶養の条件に影響する場合があるため、事前に扶養先の健康保険組合に確認 |
「絶対にこれが正解」というものはありません。あくまで目安として、実際の保険料は自分の状況で概算してから決めることをおすすめします。
保険料の概算を出す方法
3択を比べるうえで、実際の保険料をざっくり計算しておくと判断しやすくなります。
- 任意継続:退職前の給与明細で確認できる保険料の約2倍を目安にする(上限額は健康保険組合・協会けんぽに確認)
- 国民健康保険:お住まいの市区町村のホームページにある保険料シミュレーターを使う、または窓口に電話で問い合わせる
- 扶養:家族の勤務先の健康保険組合に、被扶養者になれる条件(収入の上限など)を確認する
- 3つの見積もりが出たら、保険料だけでなく手続きの期限も一緒にメモしておく
保険料は自治体・健康保険組合によって計算方法が異なります。この記事の数字はあくまで概算の考え方であり、正確な金額は必ず市区町村や健康保険組合の窓口で確認してください。
手続きの流れ
健康保険の資格を失うのは退職日の翌日です。離職票や退職時の案内書類で日付を確認しておきましょう。
前章の方法で、任意継続・国保・扶養それぞれの保険料の目安を出し、比較します。
任意継続は退職日の翌日から20日以内、国保は自治体ごとに14日以内が目安です。期限を過ぎると選べなくなる場合があるため早めに動きましょう。
任意継続は健康保険組合指定の申請書、国保は資格喪失を証明する書類(離職票など)、扶養は家族の勤務先の指定書類が必要になることが多いです。
保険証の発行までに数日〜数週間かかることがあります。その間に通院が必要な場合は、窓口や自治体に一時的な対応方法を確認しておくと安心です。
よくある失敗・注意点
切替のタイミングでよくあるつまずきをまとめました。事前に知っておくと防ぎやすくなります。
- 任意継続の申出期限(退職日の翌日から20日以内)を過ぎて選べなくなった
- 「そのうち手続きすればいい」と放置し、無保険期間ができてしまった
- 扶養に入れると思い込んでいたが、失業保険の受給が始まって扶養から外れることになった
- 国保の保険料が前年の所得で決まることを知らず、想定より高い請求が来た
- 転職先が決まっていたのに、その間の保険をどうするか決めずに放置していた
特に「期限」に関するミスは取り返しがつかないことが多いので、退職が決まったらできるだけ早く3択を比較し始めるのがおすすめです。
会社都合・自己都合で保険料が変わることも
国民健康保険には、会社都合退職や特定理由離職者に該当する場合、保険料の軽減措置が用意されている場合があります(適用条件は自治体によって異なります)。自分の退職が会社都合・自己都合のどちらに当たるかによって、失業保険の給付制限や給付日数だけでなく、国保の軽減にも影響することがあります。
会社都合と自己都合の違いについては、自己都合と会社都合の違い|給付制限・給付日数を徹底比較で詳しく解説しています。国保の軽減が使えるかどうかは、個別事情によるためお住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。
それでも決められないときは
3択のどれが得か、実際に計算してみてもよく分からないということもあると思います。そんなときは、遠慮せずに市区町村の国民健康保険窓口や、加入していた健康保険組合・協会けんぽの窓口に直接電話して聞いてみるのが一番確実です。
また、退職の手続き自体が大変で「そもそも辞める話を切り出せていない」という段階の人もいるかもしれません。そういう場合は、退職代行という選択肢もあります。無理にすすめるものではありませんが、自分での退職の切り出しが難しいときは検討してみてもいいでしょう。
健康保険以外にも、退職後のお金に関する疑問は辞めたあとのお金のカテゴリでまとめて確認できます。
健康保険の制度は法改正や自治体の運用変更により内容が変わることがあります。この記事の内容は一般的な目安であり、最新かつ正確な情報は加入していた健康保険組合・協会けんぽ、お住まいの市区町村、またはハローワーク等の公的窓口で必ず確認してください。
よくある質問
ここまでお疲れさまでした。次は全体の流れを確認したり、自分に合った辞め方を診断してみてください。



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