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更新日: 2026年08月19日
「貯金がこれだけあれば、会社を辞めても大丈夫」——その金額は、実は感覚ではなく計算で出せます。毎月の生活費に、無収入でも耐えたい月数をかけるのが基本です。この記事では、生活費×月数の計算方法、失業保険をあてにできる範囲、貯金が少ないときの対処法まで、辞める前に知っておきたいお金の見通しをまとめました。
「辞めたい」と思っても、頭をよぎるのは「辞めたあと、本当に食べていけるのか」という不安ではないでしょうか。
その不安の正体は、多くの場合「いくらあれば安心なのか」が数字で見えていないことにあります。まずは自分の生活費を洗い出し、必要な金額をはっきりさせていきましょう。
「辞めても大丈夫か」は生活費×月数で答えが出る
結論から言うと、必要な貯金額は次の式でおおまかに計算できます。
必要な貯金額 = 毎月の生活費 ×(転職活動にかかりそうな月数+失業保険が出るまでの月数)
「なんとなく100万円あれば」という感覚ではなく、自分の生活費に当てはめて計算することで、必要な金額と、今の貯金で足りるかどうかがはっきりします。
必要な貯金額の出し方|生活費×月数の計算式
計算は3ステップです。順番に自分の数字を当てはめてみてください。
家賃・食費・光熱費・通信費・保険料・日用品費・交際費など、毎月必ずかかる金額を合計します。ボーナス払いのローンなど不定期の支出も月割りにして含めましょう。
目安は生活費の3〜6ヶ月分です。これは「転職活動にかかる一般的な期間(3〜6ヶ月)」と「失業保険が実際に振り込まれるまでのタイムラグ」の両方を見込んだ数字です。
例えば生活費が月20万円で、6ヶ月分を見込むなら「20万円×6ヶ月=120万円」が目安になります。
ポイントは、「転職先が決まるまでの月数」ではなく「収入がゼロの状態を何ヶ月耐えられるか」で考えることです。失業保険が出れば生活費の一部はまかなえますが、退職直後は数週間〜1ヶ月以上、収入がまったくない期間ができます。
【早見表】生活費別・目安の貯金額
毎月の生活費ごとに、3ヶ月分・6ヶ月分の目安をまとめました。自分の生活費に近い行を確認してみてください。
| 月の生活費 | 3ヶ月分の目安 | 6ヶ月分の目安 |
|---|---|---|
| 15万円 | 45万円 | 90万円 |
| 20万円 | 60万円 | 120万円 |
| 25万円 | 75万円 | 150万円 |
| 30万円 | 90万円 | 180万円 |
失業保険はあてにしていい?もらえるまでの期間と金額
「失業保険があるから大丈夫」と思っていても、実際にお金が振り込まれるまでには時間がかかることは意外と知られていません。
自己都合退職の場合、まず7日間の待期期間があり、そのあとに給付制限があります。給付制限は令和7年4月1日以降の離職では原則1ヶ月です(それ以前は2ヶ月でした。5年間で2回以上の自己都合離職や懲戒解雇の場合は3ヶ月になります)。
つまり、退職してから最初の失業保険が振り込まれるまで、実質的に1〜2ヶ月ほど無収入の期間ができると考えておくと安心です。
受給できる金額は、退職前6ヶ月の賃金をもとにした「賃金日額」の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。日額には上限があり、令和8年8月1日時点では次のとおりです。
| 年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30〜44歳 | 8,270円 |
| 45〜59歳 | 9,110円 |
| 60〜64歳 | 7,830円 |
所定給付日数は、自己都合退職の場合、被保険者期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です(65歳未満・一般の場合)。受給資格は「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上」あることが条件になります。
貯金が少ない・ほぼゼロで辞めても大丈夫?
「理想は分かったけど、そんなに貯金がない」という方も多いはずです。ここは正直に、状況によって答えが分かれます。
実家暮らしで固定費が低い/転職先のめどがある程度立っている/会社都合退職や特定理由離職者にあたり給付制限がない/副業や家族の支援など収入源がある場合は、貯金が少なくても対応しやすいです。
一人暮らしで家賃負担が重い/転職先の見込みが全くない/自己都合退職で給付制限がかかる/扶養する家族がいる場合は、貯金ゼロでの退職はリスクが高くなります。
貯金が心もとない場合は、「辞めてから探す」のではなく「在職中に次を決めてから辞める」選択肢も検討する価値があります。転職活動の始め方は転職の始め方|何から?情報収集〜内定までの流れ完全ガイドで詳しく紹介しています。
見落としがちな出費|住民税と社会保険料
生活費だけでなく、退職後に思わぬ負担になりやすいのが住民税と社会保険料です。
住民税は前年の所得に対する後払いの税金です。退職して収入が下がっても、前年の所得を基準に課税され続けます。在職中は給与天引き(特別徴収)ですが、退職すると自治体からの納付書で自分で納める普通徴収に切り替わるのが実務上の基本です。退職する月にかかわらず普通徴収になるケースが多く、最後の給与・退職金からまとめて天引きする一括徴収は、そんなに多くありません。
とくに年の前半(おおむね1〜4月頃)の退職は一括徴収の対象になりやすいとされますが、給与が不足するなどの理由で実際には普通徴収になることも多く、必ず一括徴収になるとは限りません。詳しくは会社の総務・人事や市区町村に確認してください。仕組みは退職後の住民税が怖い理由|前年課税と徴収切替の落とし穴で解説しています。
健康保険も、退職後は任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3択から選ぶことになり、選び方次第で毎月の負担額が変わります。比較は退職後の健康保険3択比較|任意継続・国保・扶養どれが得?を参考にしてください。
ケース別シミュレーション
状況によって「安心できる貯金額」は変わります。自分に近いケースを確認してみてください。
生活費20万円なら6ヶ月分の120万円が一つの目安です。給付制限がある分、最初の1〜2ヶ月は失業保険なしで生活費を確保しておく必要があります。
生活費が高くなりやすいため、6ヶ月分より長め(8〜12ヶ月分)を目安にすると安心です。扶養に入れるかどうかで保険料負担も変わります。
無収入の期間が数日〜数週間で済むため、生活費1〜2ヶ月分の貯金があれば十分なケースが多いです。ボーナス支給後に辞めるタイミングも合わせて検討すると効率的です。
収入が安定するまで半年〜1年かかることも珍しくありません。生活費の6〜12ヶ月分を目安に、より多めの貯金を用意しておくと安心です。
辞める前に今すぐできる、貯金を増やす・減らさない工夫
「今から間に合うの?」と思うかもしれませんが、退職日までにできることは意外とあります。
有給消化は退職者の正当な権利です。消化中も給与が発生するため、実質的に無収入期間を短縮できます。詳しくは有給消化は退職者の権利|拒否されたときの考え方と伝え方ガイドを参照してください。
賞与規定によっては、支給日在籍が条件になっている場合があります。タイミング次第で手元資金を大きく増やせます。ボーナスもらって辞めるタイミング完全ガイド|支給日と規則の確認法で確認方法を紹介しています。
サブスクや保険、通信費など、辞める前に一度見直しておくと、退職後の生活費そのものを下げられます。
次が決まってから辞められれば、必要な貯金額はぐっと下がります。転職エージェントとは?仕組み・無料の理由・使い方ガイドも参考にしてみてください。
「辞めたいのに言い出せない」ときは
お金の見通しが立っても、「上司に言い出せない」「強く引き止められそうで怖い」という壁が残ることもあります。切り出し方に迷う場合は退職の切り出し方|上司への伝え方・タイミング・第一声テンプレを、引き止めが不安な場合は退職の引き止めに負けない対処法|情・条件・脅しの3タイプ別を参考にしてください。
どうしても自分で言うのが難しいときは、退職代行という方法もあります。無理に一人で抱え込む必要はありません。
辞める前の貯金チェックリスト
最後に、退職前に確認しておきたいポイントをまとめました。
- 直近3ヶ月の生活費を実際の支出から把握した
- 「生活費×3〜6ヶ月分」の目安金額を計算した
- 自己都合か会社都合かで、給付制限の有無を確認した
- 失業保険の受給資格(被保険者期間12ヶ月以上など)を満たしているか確認した
- 住民税が普通徴収に切り替わる可能性を想定している
- 退職後の健康保険をどうするか決めている
- 有給消化やボーナス支給日など、退職タイミングを検討した
- 転職活動をいつから始めるか、目安を決めた
すべてを完璧にそろえてから辞める必要はありません。ただ、数字で見通しを立てておくだけで、「辞めたあとどうなるか分からない」という漠然とした不安はかなり軽くなります。次の一歩を考えるときは、辞めたあとのお金のカテゴリもあわせて参考にしてください。
よくある質問
ここまでお疲れさまでした。次は全体の流れを確認したり、自分に合った辞め方を診断してみてください。



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