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更新日: 2026年08月30日
退職するとき「自己都合」と「会社都合」で失業保険の扱いが変わることは何となく知っていても、実際どのくらいお金の差が出るのかは分かりにくいものです。結論から言うと、会社都合のほうが「もらえるまでの期間」も「もらえる総額」も有利になりやすいのが基本です。この記事では公式データに基づいて、待期期間・給付制限・所定給付日数の違いを数字で比較し、離職理由に納得いかないときの対処法まで整理します。
結論:数字で比較するとどちらが得か
自己都合退職は「原則1ヶ月の給付制限」があり、その間は失業手当が入りません。会社都合退職はこの給付制限がなく、申請から約1週間ほどで受給がスタートします。
もらえる日数(所定給付日数)も、会社都合のほうが手厚く設定されているケースが多いです。つまり「入るタイミング」と「もらえる総額」の両方で会社都合が有利になりやすい、というのが基本の構図です。
ただし、離職理由は本人が自由に選べるものではなく、退職の経緯によって決まります。まずは違いの中身を見ていきましょう。
そもそも自己都合と会社都合、何が違うのか
雇用保険の世界では、離職理由によって受給者が大きく3つに分けられます。
- 一般離職者(自己都合):転職・独立・一身上の都合など、本人の意思で辞めた場合
- 特定受給資格者(会社都合):倒産・解雇など、会社側の事情で離職を余儀なくされた場合
- 特定理由離職者:雇止め(契約更新なし)や、体調・家庭事情などやむを得ない理由での離職
特定受給資格者と特定理由離職者は、自己都合よりも手厚い扱いを受けられる点で「会社都合」に近い枠組みとイメージしておくと分かりやすいです。
差はここに出る(1) 受給資格の条件
失業保険をもらうための条件(被保険者期間)にも違いがあります。
| 自己都合(一般) | 会社都合・特定理由離職者 | |
|---|---|---|
| 必要な被保険者期間 | 離職前2年間に通算12ヶ月以上 | 離職前1年間に通算6ヶ月以上 |
会社都合であれば働いた期間が半年程度でも受給資格を得やすいのに対し、自己都合は最低でも1年は勤めていないと受給資格そのものが得られません。短期離職の場合はここが最初の分かれ道になります。
差はここに出る(2) 給付制限-お金が入るまでの期間
「待期期間」は退職理由を問わず共通で7日間です。ここまでは自己都合も会社都合も差はありません。差が出るのはその後の「給付制限」です。
| 自己都合 | 会社都合 | |
|---|---|---|
| 待期期間 | 7日間 | 7日間 |
| 給付制限 | 原則1ヶ月 | なし |
| 受給開始の目安 | 申請から約1ヶ月+7日後 | 申請から約1週間後 |
自己都合の給付制限は、令和7年4月1日以降の離職から原則1ヶ月に短縮されました(それ以前は2ヶ月でした)。ただし5年間で2回以上自己都合退職をしている場合や、懲戒解雇の場合は3ヶ月になります。
会社都合はそもそも給付制限がないため、7日間の待期が明ければすぐに受給がスタートします。ここが「お金が入るタイミング」における一番大きな違いです。
出典:ハローワーク「基本手当について」(基準時点:2026年8月7日)
差はここに出る(3) もらえる総額-所定給付日数
受給できる日数(所定給付日数)にも差があります。
| 被保険者期間 | 自己都合(全年齢共通) | 会社都合(特定受給資格者) |
|---|---|---|
| 10年未満 | 90日 | 90日~ |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 年齢により変動 |
| 20年以上 | 150日 | 最大330日 |
自己都合は年齢を問わず一律の日数ですが、会社都合(特定受給資格者)は年齢と被保険者期間によって90日〜330日と幅があり、離職時の年齢が高く勤続が長いほど手厚くなる傾向があります。なお就職困難者(障害者手帳をお持ちの方など)は最大360日となる場合があります。
具体的な年齢区分ごとの日数は個別事情によるため、詳しくは厚生労働省「離職されたみなさまへ」やお近くのハローワークで確認してください。
実際どのくらい差が出る?モデルケースで比べてみる
数字だけだとイメージしづらいので、30〜44歳・基本手当日額が上限の8,270円(令和8年8月1日時点)だったと仮定して比べてみます。あくまで概算のシミュレーションです。
受給開始まで約1ヶ月+7日。総額の目安は 8,270円×90日=約744,300円。
受給開始まで約7日。総額の目安は 8,270円×150日=約1,240,500円。
受給開始のタイミングが早く、日数も長くなりやすい分、同じ賃金水準でも会社都合のほうが総額で数十万円単位の差が出ることがあります。実際の日額・日数は個人の賃金や年齢、勤続年数によって変わるため、必ずハローワークで自分の条件を確認してください。
離職理由は誰が決める?会社都合にしてもらうには
離職理由は、会社が作成する「離職証明書」に記載され、それをもとにハローワークが最終的に離職区分を判定します。会社が「自己都合」と書いてきても、実態が解雇や退職勧奨に近い場合は、本人がハローワークに事情を伝えて異議を申し立てることができます。
離職票が届いたら、「離職理由」欄と「離職者本人の判断」欄を必ず確認しましょう。食い違いがあれば、離職票の「異議あり」に丸をつけ、ハローワークの窓口で経緯を説明します。証拠(退職勧奨のメール、シフト表、給与明細など)があれば持参すると話がスムーズです。
この判定は個別事情によって変わるため「個別事情によるためハローワーク等で確認」というのが正直なところです。断定的に「必ず会社都合になる」とは言えませんが、泣き寝入りせず相談する価値はあります。
会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)になりやすいケース
次のような事情がある場合は、会社都合や特定理由離職者として扱われる可能性があります。
- 会社の倒産・事業所の閉鎖
- 解雇(本人の重大な責任による懲戒解雇を除く)
- 契約更新を希望したのに雇止めにあった
- 賃金の未払い・大幅な減額があった
- 採用時に聞いていた労働条件と著しく異なっていた
- 極端な長時間労働やハラスメントが続き、やむを得ず退職した
該当するかどうかの判断は状況によって細かく分かれるため、こちらも「個別事情によるためハローワーク等で確認」が原則です。心当たりがある場合は、退職前・退職後どちらでもハローワークに相談してみてください。
自己都合の給付制限期間、生活はどう乗り切るか
自己都合退職の場合、待期7日+給付制限1ヶ月の間は収入がゼロになります。この期間を見越して、退職前にある程度の貯金を用意しておくことが安心につながります。
あわせて、退職後は住民税や国民年金の支払いも続くため、思ったより出費が重なりがちです。事前にどのくらいの貯金があれば安心か、失業保険が入るまでの生活費の目安を知っておくと落ち着いて動けます。
この点は退職の貯金はいくら必要?生活費×月数で分かる目安の出し方で詳しく解説しています。
受給までの手続きの流れ(共通)
自己都合・会社都合どちらでも、手続きの流れ自体は共通です。
- 離職票を受け取る
退職後、会社から離職票1・2が届きます。届かない場合はハローワークにも相談できます。 - ハローワークで求職申込・受給申請
離職票、マイナンバーカード(なければ個人番号確認書類+身元確認書類)、証明写真2枚、本人名義の預金通帳を持参します。印鑑は不要です。 - 待期7日間
この間は自己都合・会社都合とも共通で手当は出ません。 - (自己都合のみ)給付制限期間
原則1ヶ月間、追加で手当が出ない期間があります。 - 受給開始・認定日
原則4週間に1回の認定日にハローワークで求職活動の状況を報告し、手当が振り込まれます。
受給期間は離職日の翌日から原則1年です。この期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受給できなくなるため、早めの申請が大切です。
より詳しい金額の決まり方や申請手順は失業保険はいくらもらえる?金額の決まり方と受給までの手順、給付制限のスケジュール感は失業保険はいつからもらえる?自己都合の待期・給付制限を図解もあわせてご覧ください。
知らないと損する注意点・失敗例
- 離職票の理由欄を確認せず、実態と違う自己都合表記のまま提出してしまう
- 給付制限中や受給中にアルバイトをして、申告を忘れて不正受給扱いになる
- 退職理由を実態より有利に見せようと虚偽の申告をしてしまう(後で発覚するとペナルティの対象になり得ます)
- 受給期間(離職日の翌日から原則1年)を意識せず、申請が遅れて日数を残したまま権利が消えてしまう
特にアルバイトや副業をしながら求職活動をする場合は、就労状況の申告ルールを事前にハローワークで確認しておくと安心です。
それでも会社と話すのが不安なときは
「離職理由について会社と揉めそうで言い出しにくい」「そもそも退職自体を切り出すのが怖い」という場合は、無理に一人で抱え込む必要はありません。
退職の切り出し方に不安がある場合は退職の切り出し方|上司への伝え方・タイミング・第一声テンプレが参考になります。どうしても自分で言い出すのが難しいときは、退職代行という方法もあります。詳しくは退職代行カテゴリで仕組みや選び方を確認してみてください。
よくある質問
ここまでお疲れさまでした。次は全体の流れを確認したり、自分に合った辞め方を診断してみてください。



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